2024年、様々な驚きのニュースが飛び交う中、フィッシング界にもビッグニュースが到来。2つのブランドが華々しい周年記念を迎えた。言わずと、釣り業界に名を残すレジェンドなお二方。今日までの道のりを振り返っていただき、必然や偶然、数々の試練と喜びなど、この機会に驚きの秘話を語っていただいた。2人目は平岩孝典さん(50)。ハンドメイドでルアーを削り出したのは32年前。ルアーを作り続け、自社ブランド「ガンクラフト」の看板でもある「ジョインテッド・クロー」が生まれてから今年で20年目を迎える。それは過去になかった斬新なS字系アクションルアーの先駆けだった。既に100万個を越えるロングセラーとして、今なお釣り人を喜ばせている。そんな名作を絶やさない思いもあり、今までリリースしたカラーバリエーションは約500種。ジョイクロを愛するフィッシャーは運転に例えるならマニュアル派。まずジョイクロを握り、ひたすら投げ続け、自分のスキルとルアーのポテンシャルを引き出しながらバスと出会って行く。開発者である平岩社長は、そんなヘビーユーザーの期待を背負いながら明日も明後日もジョイクロと共に進化し続けている。今後の「ジョインテッド・クロー」と、未だに釣れ続けているジョイクロの秘話を発案者である平岩社長に聞いてみた。
L:S字が生まれた時のお話を聞かせて下さい。
平:たまたまなんですけど、自分で作ったペンシルベイトのウェイトを失敗して、投げたルアーを回収していたんです。それがS字を描いて手元まで戻ってきた時に、見た事のないデカバスが追いかけてきたんです。まさか?と思い、場所を変えてわざとS字のアクションで誘ってみたら普通に釣れちゃったんです。だから…「作った!」と言うよりも「見つけた!」の方が正しいですよw。「こりゃヤバいの出来た!」と思いましたね。でもこう言っちゃなんですけど、このアクションを発見した時に周りの釣り友に相談したんですが、誰1人と褒めてくれなかったですw。初めて見る概念だったんで、誰が見てもピンと来なかったんでしょうね。それからもっとS字を意識するためにジョイントにして、誰でも簡単にS字の軌跡を描けるようにしてみました。でもそれとは逆に、容易には引き出せない要素も放り込んでいます。この発見で100点のルアーを作ってしまったら、後に類似品が出てくることも想定したんで、その1個先の100点以上まで考えてあるんです。「ちゃんとしたS字」って、同じピッチでSの字を描くと思うじゃないですか?でもジョイクロは違うんです。投げた遠方では大きな幅でS字を描いてるんですが、巻いてくるとそのS字が手元に来れば来るほど小さく狭くなるんです。バスから見ると、必然的に追い込みやすく食うキッカケが出来やすくなるんです。人間からみたら首振りアクションで誘ってる気かもしれないですが、魚から見たら絶対的にアピールするのはテールなんですよ。首じゃなくテールを振らないとダメなんですよ。S字を描いてルアーの頭部が描いたルートを、ターンしたテールでなぞるようなアクションですね。あとは、真っ直ぐに泳ぐ元気なベイトフィッシュでなく、僅かに左右のどちらかに逃げようとするような、少?し体がロールしないとダメなんですよ。バスから見て、右目でルアーを見せて、左目でルアーを見せて、また右目に戻って、また左目に戻る。自分の視界から出たり入ったりするアクションで、それが段々とピッチが狭くなりテンションが上がり最終的には口を使ってしまうという。
L:見た目のリアルなだけじゃなく、もはやバスの本能を揺さぶってるんですね。
平:実はサーチベイト的な意味もあって、ジョイクロ自体が魚探代わりにもなってしまうんです。投げてバスが見に来なかったら「喰う喰わない」はさておきバスはいないと判断してます。バスが着いて来たら「どうしても喰わせたい!」と言う人がいますけど、そもそも喰う気がなくて見に来ているだけやから無理なんすよw。喰う気があるなら既に食ってるんで、喰う気のないバスまで呼んじゃうがジョイクロなんすよw。やれるとしたら、タイミングをズラしてポイントをリセットさせるとか、泳ぐスピード変えるとか、見せる方向を変えるとか、改めて違う方法でアジャストしていくしかないですね。ジョイクロの場合は、とにかく1つのルアーでアクションの引き出しがメチャあるんですよ。AさんとBさんが同時に投げても違うだろうし、投げ方や竿、風、水の流れでも全く違う。誰が投げても一定の同じS字を描くと良さそうに思えてしまいますけど、実はそれがダメなんですよ。ルアーの限界も来てしまうし、もっと使い手の個性が出るように作ってあるんですよ。アクションのバリエーションが異様に広いんで、使えば使うほど色んなアクションを発見出来る。よって永遠に釣れると。
L:本来はルアーを交換して、新たな魚の反応を見たいところですが、ジョイクロの場合は1つのルアーで試せる事が無数にあるんでしょうね。
平:一定のS字と思いきや実は色んな釣れる要素が込められているんで。だからこそ20年間もスレないで釣れ続けているんですよ。色んな人達が釣ってきてくれますが、ジョイクロで釣った人達の写真を見ていると、信じて投げ切ったからか?凄く嬉しそうなんですよ。まだまだバスに口を使わせる要素はあると思うし、人間が分かっているのってまだ10%くらいちゃいますかねw?まだまだ分からない事だらけですよw。相手は生き物なんで、性格や個体差もあるから当然ですよね。時と場合で使い分け出来るように、ボディーのサイズ展開や「シフト」や「ラチェット」など、色んなタイプのシリーズをリリースして来ましたが、実は新たに釣れる要素を見つけてしまっています、はい。ジョイクロが得意とする、ゆっくり巻いたダイナミックなS字、真っ直ぐに引いてくるI字、これに速く巻いたら細かいピッチで震えるバイブレーションのアクションを追加したいと思っています。これも今まで無かったアクションで核心もあります。もう、プロトサンプルも完成しているんで、はいw。
L:また歴史に刻まれますね!楽しみにしています。
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