飯田さんは現「PALMS」の代表。約38年前、元々はプロショップ「RISE」を拠点とする「TEAM RISE」からの活動になる。飯田さんは創業スタッフとして、ロッドやルアーのビルディングを手掛けてきた。そして1998年に「ANGLER’S REPUBLIC」より独立。2018年にはブランド名を「PALMS」に改名。現在でも神奈川県平塚市をベースにトラウトやソルトの釣具を提案し続けている。その功績は近年のフィッシングマーケットに多大な影響を与え、中でも飯田さんは現役で活躍されている最上位なカリスマルアービルダー(フィッシャー)とも言える。代表作である「アレキサンドラ」は渓流トゥイッチングミノーのド定番。 細かいトゥイッチに反応し短い距離でもアクションがつけられるため、源流域から本流域までオールマイティに使えるヘビーシンキングのフラットサイドミノーの草分け的な存在。小規模渓流のピンポイント打ちに適しているため、渓流アングラーの愛用者は絶えない。そんなルアーを編み出した飯田さんだが、近年話題になっている“鮎のルアーフィッシング”の火付け役とも呼ばれている。
初めてルアーを作ったのは小学5年生。ナス型錘をトンカチで潰しスプーンを作りハヤを釣っていたそうだ。以来、ルアー作りに魅了された飯田少年は現在PALMSの飯田社長へ。 そして社長という立場でありながら、ルアービルディングを離れることなく彼の手先は健在。38年前と変わらず、今尚現役でルアーを作り続けている。好きが高じてだろうか?…その作業を仕事と思ったことは一度もないらしい。そんな飯田社長は土日の社員が不在の時を見計らい自ら出社。驚くことに、シーンとする静かな社内工房で独り黙々とルアーを拵えるのが日課だとか。土日こそ羽を伸ばし仕事から解放されたい会社員は少なくない。ましても社長ともなれば、優雅な休日さえ想像できるのに…。驚きのライフワークだ。しかし驚きはこれだけでない。各展示会場では社長自らが現場に立ちPR活動に専念、時に別ブースを設けて自作ルアーの販売も行ってしまう。飯田社長がビルディングしたルアーならば、さぞかしプレ値の取引が予想されるが、これまた驚きの優しい値段でユーザーを喜ばせている。
お笑い芸人でも大御所になればネタ(漫才)離れをする芸人もいるが、この飯田社長はナチュラルに違う。社長業務に加え自分の原点とも言えるルアービルディングで日々を送り、時にフィッシングスクールの講師としても現場と向き合っている。温厚な人柄で「クリエイター」と呼ばれることに少し抵抗(恥じらい)を感じてしまう控えめな飯田社長。社長らしくない、ナチュラルで格好良い社長さんなのである。
アレキサンドラ is …:
発売初期は細かいトゥイッチに反応し短い距離でもアクションがつけられる、渓流域でのフラットサイドシンキングミノーの先駆けとしてデビュー。後に時代の流れを掴み、ヘビーウエイト化され本流域までオールマイティに使えるヘビーシンキングミノーへと進化。今現在は「アレキサンドラ」として販売されているヘビーウエイトモデル(HW)の他に、初期オリジナルウエイトの「アレキサンドラFS」や、エクストラヘビーウエイトモデルの「アレキサンドラ60XHW」など、そしてロングリップモデルの「アレキサンドラ50MDS」も加わり数多くのラインナップが揃う。全ての流れをカバー出来る、日本を代表するトゥイッチングミノーとして、渓流アングラーには欠かせない存在になっている。