同世代ハンドメイドルアービルダー二人に、お互いのルアー価値観や自分のフィッシングルーツを聞いてみた。「人と一緒」に違和感を感じるのがクリエイター魂の根底。全く異なるベクトルの二人だが、人力で手掛ける彼らのルアーには温かみがあり自然と親近感が自然と湧いてくる。「魚の口に針を掛けるだけが釣りじゃない!」という、ローバイトが共感出来る一日を過ごした。
ゼログラビティー山田‘S釣り人生:キテレツ&ナーバスな天才STYLE
山:長野から東京に出てきて専門学校に通って、学校の友達に誘われて初めて亀山湖に行きましたね。でもバスが釣れたのは、そこから5年経ってからで…TDペンシルポッパーで釣れました。
LB:え、5年もノーフィッシュw?初バスはトップだったんすね。
山:それでも釣りは好きだったんで釣り雑誌も愛読してました。ロッド&リール(現在では廃刊のバス釣り雑誌)のコマツさん連載「ロックでフィッシュ」も大ファンでした。
LB:え?!ありがとうございます。で、初めて作ったルアーは?
山:実はコマツさんのブランド“SUSPEND”を購入したくて取扱店を調べたんです。そしたら近くの千葉県浦安にFROG(奇抜なトーイ系トップウォータープラグ専門ブランド&店舗)がありまして。そこを訪ねまして…。
LB:え?、まさか、俺キッカケでFROGのスタッフに(元スタッフと知っていた)!?
山:そ、そういうことなんですよw。そこで初めてルアーを作ったといいますか…。
LB:FROGさんとはお仕事していたけど、そのエピソードは知らなかった。そして今では自分のブランドでルアーを?
山:みんなと一緒なことがやりたくなくてですね…。でも逆に言えば、そんなイレギュラーな路線なので、ちゃんと売れてくれるか?は常に心配ですね…。例えば「セパルチュラ」はドキドキでしたね。偶然買ったクレイジークローラー(落水した虫をモチーフにした元祖アメリカ製ルアー)がB品で、両サイドの羽に左右同じパーツが付いていまして、クロールするどころか泳がせたらクルクル回ってしまったんですよ。
LB:憎めないけどw、さすが「THE アバウト王国」のアメリカっすね。
山:そこからヒントを得て、自作金属パーツを何度も作って、1つのルアーで3タイプのアクションを出すルアーが完成しまして。フロントペラの接続部分にあるバネを、それぞれ4箇所の穴に入れ替えることによって、フロントペラの向きが変わり様々なアクションをしてくれます。まずペラをカップ型にして受けた水が溢れる音でバスを誘うノイジータイプ。それとルアーを縦にして見た時にペラが傘をさしたような角度になるフロントビッグペラタイプ。これはペラが回ると接続部の四角穴が擦れて金属接触音が鳴るペラを最大限に生かしたアクションです。あとはペラ角度を互い違いにしたロータリーヘッドはデッドスローなアクションが得意なんですけど、強めにジャークするとポップ音が鳴ります。自分なりの力作なんですけど、世にない物を敢えて作っているので常に不安になっちゃいます。
LB:ルアービルダーって「ルアーを削って塗って」が一連の作業だと思ってたけど、金属パーツまで拵えるとは頭が下がりますね。自ら名乗る「キテレツ疑似餌」のフレーズがピッタリくるわけだ!
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