製品力をメインに展開しているため、普段は積極的にプロモーション活動を行っていないブランド“odz”がローバイトに登場。近年では40~50cmの「ギガアジ」と呼ばれるビッグサイズのアジも現れ始め、釣り人達はより繊細で奥深いアジングを求め楽しんでいる。ブランドが誇る自信作“Range Cross Head”について担当の寺前さんにお話を聞いた。
- LB:“odz”とは親会社“土肥富”の中のブランドですよね?大変失礼ですけど “土肥富”って、高価な日本酒のような印象的なネーミングですよね?
- 寺:現社長は4代目になります。今から130年ほど前ですが創業時の社長名が「土肥富太郎」と申しまして、釣り針を人力で曲げていた時代から、機械によって針を製造するようになった先駆け的な存在だと聞いています。主に漁業用の針を輸出していたのですが、日本国内向けのフィッシングラインとして“MARUTO”ブランドを作り、その中のルアーブランド“odz”を皆様にお届けしています。釣り針一つでも、大型のマグロ用やサメ用もあれば小型のタナゴ用まであって大変奥深いジャンルだと思います。そしてその魚を狙う方法(釣り方)によって、更にまた針が異なってきます。備品とは言え、パッと見では解りかねる「未知の世界」と言えるかもしれませんね(笑)。
- LB:魚がバレてしまった(針に掛かったけど外れて逃げられた)時に、ついつい針先を疑ってしまいますが…。やはり重要ですよね?
- 寺:製造はワイヤー状の鋼材を切断する工程から始まり、次に先を尖らせる「尖頭」を行い、その後様々な形状に整型していきます。更にその後、高温を加え、再度低温でじっくり熱を加えることでしっかりとした強度を出していきます。「焼入れ」「焼戻し」と呼ばれる熱処理工程です。硬いと折れてしまうし、柔らかいと曲がってしまう。色んな工程を経て完成しますが、これらの技術は中でも重要だと思います。基本的な製法は昔ながらですが、今は様々な機械を使用することで大量生産が可能になったようです。
- LB:では本企画の主役である“Range Cross Head”についてお聞かせ下さい。
- 寺:アジングに特化したジグ単(ジグヘッド1つにワームをセットしたシンプルな釣り方)に向けたジグヘッドです。エンドに糸を結んで針にワームを装着するだけという、一番手軽でポピュラーな釣り方に使われるギアですね。開発は愛媛県在住の矢野さんの意見を参考に進めています。まず「オープンゲイプ」と言って、針先が少し外向きにデザインされています。アジは口周りが脆い魚なため、針が口元に刺さっても身切れしてしまう場合が多々あるんです。なので、アジがワームを吸い込んだ時に、なるべく喉の奥に掛かるように設計してあります。
- LB:アタリと同時に即アワセる設定ですね!
- 寺:ですね。ヘッドはルアーをリフト&フォールさせてアジを誘うため、泳ぐワームが左右のバランスを崩さないように低重心で作ってあります。リフト(ワームを持ち上げて浮かす)する時は抵抗が少なく、フォール(ラインテンションを緩めてワームを沈める)する時は、抵抗がかかりスローに沈んでいきます。またヘッドのシンカーが三角形状なっているため針先が倒れにくいんです。この姿勢を安定させることによって、吸い込んだ口内の硬いところに針を貫通出来るわけです。そして、軸の長さやアイの高さの微調整を何度も重ねて、理想的な針掛かりを目指して製品化しています。
- LB:小さくて軽いリグだから繊細な世界ですね。
- 寺:アジは食べても美味しいし、お手軽な釣りなので人気なのですが、実は奥が深いんですよ(笑)。拘りは人それぞれで良いと思うんですが、拘った方の方が釣果に結びついているようですね。
- LB:アジ釣りは小場所でも出来ますけど、周りの方と差が出てしまうとか?
- 寺:「アタリはあるけどフックアップ出来ない」「せっかく掛けたけどバラしてしまう」とか。横に並んでいる釣り人同士でも、拘ってリグを選んで使っている人と、アバウトにリグを選んでいる人では、1匹VS10匹っていうのもありえる話かと思いますよ(笑)。
- LB:そういう経験…あるかも(汗笑)。
- 寺:釣り人なら気になっちゃいますよね(笑)。
ODZ
http://dohitomi.com/297