ここはコクチバスの聖地とも言われている桧原湖。山頂にあるため、夏の避暑地としても有名で、多くのアングラーが各地から集まる人気フィールドだ。バスは夏を目前に繁殖期を迎え、親バスは卵を育てるために巣(ベッド)を必死に守る。そのバスを釣ろうと、ワームを打ち続ける釣り人は少なくない。残念な話だが、彼らの残した数えきれないワームが水底に沈殿していた。魚やフィールドにとってはいらない置き土産だ。水の透明度が高い桧原湖だからか?見るに耐えがたい光景も印象的だった。辺りでは春蝉が鳴き始め、バスは水面への意識が高まっていた。そこで実績のあるクローラータイプの「仔どんぐりマウス」でコクチバスを誘い出すことに。コクチバスは目も良いし泳ぎも早い。何処からともなくルアーに飛んできてルアーを拐って行く。以前に高台からヒットさせ、水辺に降りてファイトしようと崖を下っていたら、あっという間に足元までバスが走ってきて、慌ててラインスラックを巻き取った記憶がある。そんなエキサイティングで釣って楽しい魚なのだ。寛大な磐梯山に見守られながら「仔どんぐりマウス」のカラーローテーションを繰り返し、置き土産ゼロ(ルアーロストほぼゼロ)なトップウォーターの釣りを終日楽しんだ。
トップウォータープラグの中でも“ハネモノ”と呼ばれる左右にウイングが付いたルアーはよく釣れる。この“どんぐりマウス”のウイングは、水を切って泳ぐだけでなく金属と金属が擦れあうクラッターサウンドを奏でる。この高音で「キュルキュルカチャカチャ」と鳴り響く音が水中のバスを刺激して、たまらず口を使わせると思われる。細かいピッチでウイングを上下しながら水を切り、水を頭部とウイングで受け止めることで、高速から低速までのリトリーブが可能だ。前傾姿勢で水中に頭を突っ込みながら、後部はお尻を水面に飛び出させて左右に振って泳ぐ。お尻に付いたフックが水面に飛び出してバイトを逃さないように、フックにフェザーを付けることで水に馴染ませ、スプリットリングをダブルで装着して水中のスイムをキープしている。本来コクチバスは口が小さいためミスバイトの可能性が否めないが、お口サイズにあった“仔どんぐりマウス”はヒット率を格段に上げてくれる。そして何より、ルアーの表情(カラバリ)が豊かなので、選んで!投げて!釣って!楽しいルアーなのだ。
どんぐりマウスシリーズには4タイプ
シャローを意識して岸沿いを流し、少し緊張感が解れた7時くらいだろうか?辺りで春蝉が鳴き出した。それとほぼ同時くらい、木陰から水面を泳いで顔を出した“仔どんぐりマウス”に猛烈なバイト。竿は大きく曲がり、40cm前後の綺麗なタイガー模様のコクチバスが上がってきた。春蝉とルアーと口のサイズ、全てがジャストフィットした出来事だった。これに船上は大盛り上がり。なんせトップウォーターフィッシングとは、ルアーアクション→バイト→ファイトに至る出来事を、掛けた本人と同船者までもが見守れる(楽しめる)。この共存スタイルこそ、船上を盛り上げる理由の一つかも知れない。2人は抱き合って喜んだ(これは言い過ぎw)。
とは言え、魚の反応は続くわけではない。普段ライブスコープで魚を探す荒川さんには少し酷な時間が過ぎた。お昼頃、透き通った水中に2~3mある岩を発見。いかにもバスが待機してそうだった。ベイトタックルにトラブルがあった荒川さんはスピニングタックルに持ち替えてナイスキャスト。すると案の定、水面を割ってバスが食いついた。がしかし…思いの外、竿が柔らかく掛けたバスをバラしてしまった。気を取り直し再びキャスト。すると再び水面にバスは現れたが、こちらの存在に気がつきターンしてしまった。さすがクリアーレイク!こっちが見えてればあっちも見えている。ならば!と、ボートポジションを改めて、風上に向かってルアーをキャスト。着水したルアーは風に押されナチュラルに岩上まで到達。そこで優しいクロールアクションをすると、1匹目でもない2匹目でもない3匹目のバスが水面を破った。ここぞ!とばかりに荒川さんは渾身のアワセを入れ、今度こそ無事に40cm前後をキャッチ。1匹の価値に荒川さんは泣いて喜んだ(もしかしたら本当w)。
この日を振り返り荒川さんは言う。「普段はデジタルな画面を見てバスを追って食わせていますけど、今日は自分の目で見つけて食わせているから、ライブ感が半端なくて凄く凄く楽しかったです!」と。どうやら記憶に残る1匹と出会えて感動してしまったらしい。…因みに翌日、彼は釣具屋に走り“春蝉カラーの仔どんぐりマウス”を購入したそうです(これはマジで本当w)。