齢四十も過ぎると若い頃のようにビュっとはいかないものです。キャスティングの話です。きちんとキメなければバスは出てくれない。そんなとき、仲間に気づかれないようにちょっとした工夫でアキュラシーを上げる秘訣を見つけた。
ロッドガイドの小径化である。現行、多くのトップウォーターロッドガイドはトップから2番ガイドまでが6㎜。3番ガイドから大きくなる設計が多い。私事だが、弊社ではトップ4.5㎜、1と2番は5㎜、3番から6㎜と大きくなっていく小口径ガイドのロッドをリリースした。これによってキャスト精度は上がったことは言うまでもない。何故なら、「ガイドが小さくなったことにより、ラインの遊びが減った」からだ。ガイドの背も低くなり、ロッドのねじれ方向の力も減るのでキャストミスが減った。加えて、ラインのスラックが扱いやすくなるので、ペンシルベイトなどの操作系プラグは圧倒的に面白くなった。小口径化の当初の狙いは「竿先が軽くなるからトウィッチが楽になってイイんじゃね?」程度だったのだが…。ただ全て良いのかというとそうでもなく、小口径ガイドにはトップウォーターロッドに馴染まれるダブルフットの選択肢が無い。軽量化の意味もある小口径ガイドはシングルフットが主流なのだ。見た目の華奢さは否めない。翻って鏡の自分を見てみるとややお腹も出てきた。そんな自分がガイドのフットぐらいでチマチマ言うのか。自分はシングルフットを含めた小口径化を選択した。結果、釣りの解像度が上がったと実感している。中年は潔く受け入れた方が楽しめるのだ。これが大人の特権というものだろう。若い時「ああはなりたくねぇな」と思っていたあの頃からすると、今の自分が「ああ」にはなっていないものの、それとはまた別の今の若者から見た「ああ」になっていることには違いないだろう。だからこそ気付かれないようにサッとガイドくらいは打ち直して、キメれるキャストを続けられる大人ではいたいと思う。
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TEXT BY トップウォーターブランド4s、parabolicsの作り手。疎放かつ繊巧が好みな和田さん。