こんなタイトルを付けたら怒られるかも…。いや、こんなタイトルじゃないと怒られるかも。
だって誰にも真似できない、彼の底知れぬマンパワーが全てを吹き飛ばしてくれるから。
ドSで自分自身を攻撃してしまう難病になり、とことん追い込まれた自分からドMで這いあがる。並大抵の変態(褒め言葉)でないMASAYARTさん。そんな彼が自分の好きなイラストに込める思いを伺いながら、今期Tシャツ用のローバイトマークを描いていただいた(感謝)。
病気で倒れる前は、年中真っ黒で身体を常に動かすカヌーのインスタラクターや、琵琶湖で全国の小中学生にアウトドアの楽しさを体験講習で教える講師をしていました。だけど、 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症という日本に一万も満たない難病になってしまいまして。でも幸いにして、その手の権威ある先生に診てもらう事が出来たんです。どうやら、世界中の誰にも分からない特効薬も治し方もない謎の病気らしくて。先生に尋ねると「そんなんのワシにも分からんよ!w」って笑い飛ばされたんです。僕もそれにつられたのか「先生、それってレアになれたって事ですよね!?」って聞き返したら「え?そんな事いう患者さんは初めてだよ!w」と2人で爆笑してしまいました。そもそも病気の原因とは8割がストレスらしく「とにかく自分にストレスの掛からない好きな事をしなさい!それでもし体調が悪化してしまった時は、我々医者が全力で力になりますから」と言ってくれたんです。僕も生まれながらのアホなのか「じゃ、好き勝手にやらせていただきまーす!」って(笑)。とは言え、最初はそれなりに落ち込んだんですけど、どうせ治らないんだったら自分の病気について調べたり悩んでも解決しない事に気がついたんです。僕の中では「諦めの美学」って呼んでるんですけど(笑)。「諦める」って悪いイメージですけど、一つの区切りをつけると考えたら、すんなり次のステージに行けるんです。もはや独自の哲学かもしれないですけど(笑)。
トイレや風呂も自由に出来ない寝たきり状態で、すっかり制限された生活が日々始まったんですが、そんな時に預かっていたイラストの件で「グリッチオイル」さん(リールカスタムで使用するオイルメーカー)から連絡が来まして…。倒れる前からイラストを描くのが趣味で、たまに自分のイラストを提供していたんです。片手に点滴を3本打ちながら、副作用で頭が朦朧とした状態で先方に詫びの電話を入れたんです。そうしたら「イラストは予定通りに進めてもらわないと困る!」って言うんでね(笑)。でも今思えば、あそこで大事を取ってベッドで寝込んでいたら、今みたいに回復してなかったかもしれません。後から聞きましたが「このままでは死んでしまうかも!?」と思ったみたいで、目標を持たせようと無無理矢理に仕事を押し込んだみたいです。おかげで相当頑張りまして(笑)、その案件は無事乗り越えたんですが早々病院を退院出来るわけではなく、ベッドの上でイラストを描いてインスタグラムに毎日アップする事を始めたんです。すると嬉しい反応や元気を出してくれる人が出てきて、更にはお仕事までいただけるようになって本当に嬉しい話です。中にはイラストの色遣いを見て「体調大丈夫ですか?」と心配のお声がけもいただきます。たかがSNSですけど、生きるルーティンとなり、いつしか心の支えになっていたんです。もしこれが無かったら、気持ちが腐って身を投げていたかもしれない。これが僕の生きる力の原動力になっている事は間違いないです。
未だに大量の薬を飲んだり、月に一回自分でお腹に注射をしたり、決して正常な暮らしではないです。毎朝目が覚める(生きている)とホッとするし、イラストも常に遺作だと思って描き続けています。「明日やろう!はバカヤロウ」って言葉を聞いた事ありますが、誰でも明日が来る保証はありません。こうして人並みに好きな絵を描いたり、釣りをしたり、遠方の友達に逢いに行ったり、裕福ではないけど好きな事をしてご飯を食べさせていただいているだけでも奇跡です。人生を振り返って、病気になって色んな人に出逢えて、こんな考え方が出来るようになったのは、むしろ病気になって良かったとさえ思えるし、やっぱり…僕は幸せだなと思います。