「そろそろシイラが入ってくる時期だな」。そう思って西伊豆の知り合いに連絡した。すると徐々にシイラの釣果は出ており、漁師の定置網にもかかっているとのことだった。ベストシーズンインには程遠いが前向きに考えてしまうのが「釣り人」。愛車のトヨタ/クイックデリバリーにカヤックを積み込み我々は期待を込めて西伊豆へ走ることにした。現地でロハスカヤックの佐野さんと集合。佐野さんは国内をカヤックで釣り歩き、横須賀市でレンタルカヤック屋を営むアウトドアのスペシャリスト。いよいよ日の出と共に出船。天気は生憎の曇り空だったが、風も波も穏やかでカヤックフィッシングには抜群のコンディションだ。薄っすら顔を出した富士山を眺めながらカヤックは進む。気がつけば20分程でポイントに到着した。
シイラと言えば、やはりトップウォーターで狙って釣るのが最高。まずはポッパー(スカジットデザインズ/パンプキン140mm)で水面がベイトで騒つくエリアをひたすら狙う。パンプンキンは飛距離・操作性・軽快なポップ音と三拍子揃ったシイラには特に効く実績ルアーだ。しかし、うんともすんとも反応はない…。どう考えても我々は一番乗りの釣り人。居れば間違いなく反応するシイラの習性からすると…今日はお留守か?しばらくキャストを続けたが仕方なく断念。そこでカヤックでないと狙えない浅場や漂流物付近に各自分散して釣ることにした。しかしこれでもシイラの反応はない。相手は世界を渡り歩く回遊魚。天気や気温、潮の動きで魚の気分は一瞬で変わる。いなければ釣れないのは当たり前だ。残念だが頭の中をシフトチェンジすることにした。
淡水の釣りと違って海には無数の魚種が存在し、いろんなポイントとレンジにいろんな魚がいる。せっかく西伊豆の駿河湾まで来て他の魚を狙わない手は無い。表層の釣りからルアーをシンキングペンシル(スカジットデザインズ/スライドベイトヘビーワン90mm28g)にチェンジ。手にしたのはベイトフィッシュとマッチした(9cm)丁度良いサイズ。オフショアのヘビーなタックルでも扱いやすい1oz(28g)のウエイトだ。すると…いきなりヒット!なかなか強い引きだったので「シイラであってくれ!」と心の中で唱えた。姿を現したのは70cmの大きな“ダツ”。シイラじゃ無いにしろ、このサイズの魚が釣れると正直嬉しい。ノコギリのような歯が未だに忘れられない。更にイサキなど数種類の魚も追加。レンジとルアーを変えることによって、伊豆の海は気持ち良く答えてくれた。
さてお次はボトムの根魚を狙おうとジグ(スカジットデザインズ/キールジグ60gケイムラレッドベリー)にルアーチェンジ。キールジグは背中のキールシェイプが方向性を安定させルため、投げてリトリーブで誘ってもしっかり泳ぎ、フォール&リフトでも誘えて広範囲で使用できるジグ。ここでも回答は早かった。早速釣れたのは、海の宝石とも言われる“アカハタ”。鮮やかな赤とオレンジの魚体に驚きと納得。その後も特大カサゴやイトフエフキなどが続々と参上。シイラ狙いとは一転して爆釣と化した。シイラが釣れなかったのは残念だったが、ここ駿河湾の魚影の濃さ魚種の豊富さに驚き、そして西伊豆のカヤックから見る景観に癒され最高の1日を過ごせた。こういう過ごし方が出来るのもソルトフィッシングの醍醐味だし、自分なりの楽しみを見つけられたので満足している。