個人的な夏の風物詩「ライギョ釣り」。水性植物がモリモリと水面を覆ったエリアで、水性植物の上をウィードレスフロッグルアーで水面直下のライギョにアプローチ。水面を覆ったヘビーカバーでルアーの姿形こそ見えないが、水面下から餌と認識したライギョは植物ごとルアーを吸い込みバイトしてくる。釣り方を水面と空中バーブレスフロッグに絞り、この拘りこそがライギョを釣る手段として最も面白い。こんなエキサイティングな釣りがたまらなく好きで、このシーズンを毎年待ち焦がれている。がしかし、東京在住の自分はこの釣り環境とは縁が薄い。水性植物と魚影が伴う環境が乏しく、担当直入に言うと「自然が残っていない」のである。時に4~5時間の地方遠征も珍しくない。それでも魚に会えないことは多々ある。確かあの日も暑さだけが体力を奪い半ば絶望的だった…。
フィールドを何カ所も巡り…時には高速道路を使って移動。魚も暑さでバテ気味なのだろうか?いつもながら厳しい。またしてもフィールドを変更しようと、同行者達はクーラーの効いた車内へ。残された自分は気分転換にノンカバーだが日陰の橋桁にキャスト。橋桁に命中したゴム製のフロッグがバウンドしてソフトに着水。ポップ音をポコン!と鳴らすと、激しく水面が割れた。「ここで?」と半信半疑で竿を立てるも大きく曲がる。背後で見守る車内の同行者達は大物の予感と一斉に車を飛び出た。水深1mもない浅瀬では魚は左右に大きく走る。イルカショーのように一回転ジャンプで現れたのは55くらい?のビッグバス。ヘビーカバーで釣っているとバスが混ざる事はあるが、狙いがライギョなため50アップバスでも喜びにくい。しかし、コイツのファイトは「捕りたい!」と思った。何故ならば捕りにくい魚だったから。やたら暴れる魚に対して、フロッグの針はバーブレスでシャンクも太い。ファイトで針穴が大きくなれば、意図も簡単に針は外れるだろう。そしてヘビーカバーに耐えるべくライギョ用の竿は固く、その糸も凧糸のよう太いPEライン。抜き上げるパワーはあるものの、暴れるバスのファイトを吸収するには相応しくなかった。更にアンバサダー5000Cのクラッシックなリールは、四方八方に高速で泳ぐバスに付いていく事が難しく、遂に魚は手前に走り出し足元の縁石に衝突。最後の最後でルアーは惜しくも外れてしまった。もちろん…その場で膝間づいた。
さて余韻を引きずったまま、涼しい車内では反省会。今回はヘビーカバー用のタックルだからビッグバスにも耐えられた。しかし反対だったらどうだろ?バス用のタックルで、バスよりパワフルなライギョがヒットしたら…。竿は折れ…糸は切れ…、口にルアーが付いた魚とサヨウナラ。それは決してリリースでなく、残された魚は死を迎える事に…。キャッチ&リリースを前提に魚と遊んでいるのが我々。そんな事故は避けたい。意図的にバスタックルでライギョを狙ったり、ヘビーカバーにライトなタックルで挑むことを控え、自分の欲求だけでなく魚が掛かった後のことを想定しながら釣りをする。車内の全員は深く誓い、我々の大切なフィッシャーマンシップを再認識した。