釣りに行って「魚を釣る以外に深く感銘を受けた事」を綴るページ。ローバイトのモットーである「魚の口に針を掛けるのが釣りじゃない!」を、ノンフィクションでお伝えする企画だ。以下掲載文字をそのまま添付します。
先日河川に船を浮かべて釣りをしたが、理想的な釣果を得る事なく帰着。船を降りようとしたら、打ち上げられたのか?目の前のサンドバーにランチュウがゆらゆら泳いでいた。ランチュウとは人間が研究と改造を重ねて生まれてきた完全な観賞魚。となると…彼等のホームは水槽。こんな一級河川で生き延びられる訳がない。ましてや近年、自然災害は巨大化しているし、台風の氾濫や激流に耐えられる事は不可能に近いはず。それにしても、サンドバーで泳ぐ自然界離れしたランチュウは、とても優雅でゆらゆらしたスイムフォームが愛らしく…しばらく見とれてしまった。
やはり…ゆらゆらしたこの子をレスキューしたい。自宅までは新幹線経由…。そう言えば…河川の横に釣堀らしき池を見かけた。こんな自然社会の一等地より、まだ人為的な釣堀の方がランチュウにとってフィットしているように思えた。仮に釣られてしまっても、人のために生まれてきた魚だし、その方が本望であろう。なんとかあそこまで移動出来ないだろうか…。辺りを見ると、不幸中の幸いか?コンビニのビニール袋がいくつも落ちていた。普段は不快に思うが、この日ばかりは期待を寄せてみた。得体の知れないゴミを物色しながら、程好いビニール袋に水を入れてみると、小便小僧のようにピューっと水が飛び散る。あれもダメ、これもダメ…。手元にはゴミが溜まる一報、やっとの思いで相応しいビニール袋をゲット。ゴミを拾ってここまで喜んだ事はあっただろうか(笑)。準備万端!いざレスキューに挑む。レスキューが目的だが、この時ばかりはハンターモード。しかし、逃げる事を知らないのだろうか…?ゆらゆらスタイルは変わる事なく、ランチュウの捕獲はとてもイージーで、気合いを入れてネットを構えるボクらを脱力させた(笑)。こんな輩達が狙っているのに、やはりこの河川に相応しくないと思えた。
さて車で3~4分だろうか?目指していた池に到着。池の半分はリリーパットで覆われ、釣堀にしては人気が無く営業を疑ってしまった。が、どうやら、1日券が三百円の緩?い釣堀のようだ。ここまで来て断られたらどうしよう…(汗)。管理するオジさんに恐る恐る事情を説明してみた。すると「ここは?、へら池やけど、構わんよ」と、笑いながら受け入れてくれた。理解あって良かった…。となると、コイツは人が釣ってくれるか?新たな池で生きるか?河川の荒波に揉まれるよりはいいだろう。勝手な判断だが、ランチュウの運命をこの池に託してみた。
それにしても、アルミボートを積んで車内にバスタックルを忍ばす男達…(ノーフィッシュ)。魚をリリースするその姿は、うっかりバスの違法放流と誤解されても仕方ない(笑)。もちろん、バスの問題はナーバスに受け止めている。が、今回は人間のエゴで生まれ、人間のエゴで捨てられ、人間のエゴで救ったお話。どこを切り取っても身勝手な事は否めない。そんな人間に怒りを抱くか?人間だから許すのか?これは果てしなく果てしなく難しい問題だ。